痒みの原因は一体なに? 犬のアレルギー性皮膚炎
犬の皮膚トラブルの中で非常に多いのが、アレルギー性皮膚炎です。
主に原因となるのは大きく分けて 「食物性アレルギー」 と 「アトピー性皮膚炎」 の2種類です。
どちらも症状は耳、目の周りや唇、わきの下や後肢のつけ根、趾間の皮膚に発赤をともなうかゆみが特徴ですが、原因や治療の考え方が少し異なります。


① 食物アレルギー
原因
体が特定の食材(タンパク質や添加物など)を「異物」と認識し、免疫反応が過剰に起きることで皮膚炎や消化器症状を引き起こします。
代表的な原因食材には以下のようなものがあります:
- 牛肉、鶏肉、羊肉、豚肉
- 卵、乳製品
- 小麦、トウモロコシ、大豆
- 魚(サーモン、ツナ など)
アレルゲンは個体差が大きく、普段から食べているフードの中に原因が隠れていることも少なくありません。
検査・診断
食物アレルギーは血液検査や皮膚検査だけでは確定できないことが多いため、
食事療法(除去試験)を中心に診断を進めます。
- 除去食試験(8〜12週間):アレルゲン物となりやすい物質を除いた療法食で反応を観察。2ヶ月間他のご飯をおやつをあげないことがとても重要になります。
- IgE検査,リンパ球刺激試験:食物アレルギーの診断補助として利用されることが多くどの物質に過敏反応を起こしているかを推定します。
これらの結果を組み合わせ、実際の臨床反応をもとに診断します。
治療
食物アレルギーの根本治療は「原因食材を食べないこと」になります。
治療の基本は食事管理です。
- 除去食療法(加水分解タンパク食・新規タンパク食)
- 再発予防としての長期的なフードコントロール
- シャンプーなどでのスキンケア
- 痒みや炎症が強い場合は、短期間の抗炎症薬、痒み止めを併用
症状が落ち着いても、少量の間違った食材で再発することがあるため、
食事内容を一貫して守ることが非常に大切です。
② アトピー性皮膚炎
原因
アトピー性皮膚炎は、環境中のアレルゲン(ハウスダスト、花粉、ダニ、カビなど)に対する過敏反応によって起こります。
皮膚のバリア機能が弱い体質の犬に多く、
季節や環境の変化で症状が悪化するのが特徴です。
特に以下の要因が関与します:
- ダニ・ハウスダスト
- 花粉(スギ、ブタクサ、ヨモギなど)
- カビ・真菌
- 乾燥・温度変化
検査・診断
アトピー性皮膚炎は診断名というよりも除外診断の結果として確定します。
つまり、他の皮膚病(ノミ、マラセチア、食物アレルギーなど)を除外してから最終的に診断します。
検査の一例:
- 皮膚検査(細胞診、テープ検査など)
- 血液検査(アレルゲン特異IgE)
- 問診・生活環境評価
- 食事試験(食物性アレルギーとの鑑別)
治療
食物アレルギー同様、アトピー性皮膚炎も「完治」ではなく、「症状をうまくコントロールする」ことが目的です。
治療は犬ごとに異なりますが、以下のような方法を組み合わせます。
- 環境アレルゲン対策 ・寝具やカーペットのこまめな洗浄・掃除 、季節ごとの予防ケア
- スキンケア ・低刺激性シャンプーでの洗浄+保湿 、皮膚バリアを補うサプリメントや保湿ローションの使用
- 薬物療法 ・アポキル(オクラシチニブ)/サイトポイント(注射)などの痒み止め薬 、症状に合わせた抗炎症薬、免疫抑制薬の使用・必要を併用
最後に
アレルギー性皮膚炎は身体の免疫システムの異常から起こる病気のためこれ自体を治すことはできません。
一度治して終わりではなく、
その子の体質と上手に付き合いながら生活の質を高めていくことは可能です。
「最近よく掻く」「脱毛がある」「皮膚が赤い」「季節の変わり目で症状が出る」など感じられたら、
早めのご相談をおすすめします。
早期の介入で、慢性経過による症状の悪化を防ぎ、快適な毎日を取り戻すことができます。