Cases 症例紹介

猫の膀胱炎〜特発性・感染性・結石性の3タイプ〜

膀胱炎とは

猫の膀胱炎は、排尿時の疼痛や頻尿、血尿などを特徴とする下部尿路疾患(FLUTD)の一病態です。特に若齢〜中年齢の去勢雄猫に多く、ストレスや環境変化、食事内容などが発症に関与します。膀胱炎は大きく3つのタイプに分類され、感染性、特発性(原因不明という意味)、結石性に分かれ、その原因によって治療方針が大きく異なるため、正確な鑑別診断が重要となります。


症状

猫の膀胱炎は、トイレに何度も通う・血尿が出る・落ち着きがないなど、飼い主さまにとって心配な症状を引き起こします。
膀胱炎と一言でいっても、原因によって「治療方法」も「再発のしやすさ」も変わります。当院で実際に診察した症例をもとに、膀胱炎の代表的な 3つのタイプ についてご紹介します。


■ 1. 特発性膀胱炎(FIC:特発性下部尿路疾患)

● 特徴

最も多いタイプで、明確な原因が特定されない膀胱炎です。
ストレスや環境変化、水分不足などが関係しているといわれています。

● 診断のポイント

  • 尿検査:血尿・炎症所見あり
  • 結晶・細菌は検出されないことが多い
  • エコー:膀胱粘膜の肥厚がみられることもある
  • 他の原因(結石・感染)を除外して診断

● 治療

  • 鎮痛剤による痛みの緩和
  • 下部尿路療法食への切り替え
  • 水分摂取量を増やす工夫(新鮮水、こまめな水の交換)
  • ストレスの軽減(トイレ環境整備、遊び、同居動物との関係改善)


■ 2. 感染性膀胱炎(細菌性膀胱炎)

● 特徴

膀胱内で細菌が増殖して炎症を起こすタイプです。感染がある場合は基礎疾患が背景に隠れていないかをまず疑いましょう。
高齢猫や基礎疾患のある猫(慢性腎臓病・糖尿病・腎盂腎炎・尿路閉塞性疾患)で発生しやすい傾向があります。

● 診断のポイント

  • 尿検査での細菌検出
  • 尿沈査で白血球の増多
  • 尿比重の低下
  • 尿培養検査で菌種・抗生物質の感受性確認
  • 超音波検査で膀胱内の浮遊物が見られる事もあり

● 治療

  • 適切な抗生物質(培養結果に基づく)
  • 痛みや炎症への対処
  • 基礎疾患がある場合はそちらの管理も同時に行う


■ 3. 結石性膀胱炎(ストルバイト/シュウ酸カルシウム)

                            △ストラバイト結晶

                            △シュウ酸カルシウム結晶

● 特徴

膀胱内に結晶や結石が形成され、粘膜を刺激して炎症を起こすタイプです。
ひどい場合は尿道閉塞(オス猫で多い)につながり、高K血症に陥り緊急治療が必要になります。

               △こちらは膀胱内で形成されたストラバイト結石です。炎症により膀胱粘膜の肥厚がみられます。

● 診断のポイント

  • 尿検査で結晶を確認
  • エコーやレントゲンで結石を可視化
  • 結石の種類によって治療方針が変わる

● 治療

  • ストルバイト:療法食で溶解可能結石のサイズによっては溶解せず外科的な摘出が必要になることも
  • シュウ酸カルシウム:溶けないため外科手術や排石処置が必要な場合も
  • 痛み・炎症のコントロール
  • 再発防止のための食事管理・水分摂取促進


■ まとめ

以上より、猫の膀胱炎には大きく分けて

① 特発性 ② 感染性 ③ 結石性

の3タイプがあります。

症状だけでは見分けがつかないため、
尿検査・超音波検査・レントゲンなど総合的な評価がとても重要です。

阿佐ヶ谷ペットクリニック サテライトでは、
症状の治療だけでなく、再発予防につながるよう数ある療法食の中から厳選されたフードの選択・膀胱の抗菌・抗炎症・pH改善作用を含むサプリメントによる生活環境のアドバイスも行っています。

またこれら以外にも自宅で出来る工夫は色々あります。

当院では丁寧にお話をお伺いし、ネコちゃんの性格や生活環境を踏まえて治療、再発の予防についてご提案いたします。

「いつもよりトイレが長い」「血が混じったように見える」など、
少しでも気になる変化があれば、早めの受診をおすすめします。

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